おいしいを探る〜牛乳

みなさん、こんにちは。
久しぶりにまずまずの週末となった東京です。散歩に出かけた湘南の海で、すっかり日焼けしてしまいました。


さて、辰巳先生が教室で話されることの一つに、おいしいものはなぜ必要なのかということがあります。それに関連して、「おいしいものは、なぜ”おいしい”と感じるのだろうか」と考えるようになりました。


 おいしいという感覚は、例えばご飯なら、お米の品種や産地で違うということは、珍しくないでしょう。ならば、同じ品種の米で、おいしさに違いがあると感じる場合、それは何に起因しているのでしょうか。栽培方法、天候、手間のかけ方などでも違いは出るのだと思います。でも、大きく影響するのは(肥料も含めての)”土壌”ではないか。今は、そんなふうに考えるようになりました。


ならば、野菜や果物のような植物ではなく、牛乳のおいしさに考えを巡らせたなら、それは何によるものなのでしょうか。そんなことを考えて、生産者の方のお話を聴く機会に参加してきました。話しを聞かせて下さったのは、北海道・紋別の興部(おこっぺ)町、ノースプレインファームの大黒さん。


ノースプレインファームでは、放牧で牛を育てていて、主な飼料は有機無農薬の認証を得た自給の”草”。(ちなみに北海道でも放牧主体で酪農をしているのはわずか8%程度なのだそうです。イメージでは、もっと多いと思っていたんですが、現実は違っていました)
”草”といっても、雪に覆われる冬の間は夏に刈って作っておいた干し草を、夏は生えている青草を、牛たちは食べているそうです。そうすると、牛乳の色味や味に季節で違いが出るのだそうです。例えば、青草を食べている間は、(冬に比べると)やや黄色味がかった色になり、さらりとした味わいになるそうです。試飲させてもらった牛乳は、オフホワイトがかっていて濃そうな印象なのに、すっきり。そして、嬉しかったのは、給食の時に苦手だった匂いを感じられなかったこと。


「牛は元々草食動物です。しかも、"人"が食べないような草を、主に食べてきたのだと思います。穀物中心の餌を与えると、確かに乳量は増えますが、牛は短命になるのです」
そんなお話を聞いて、思い出したのは、狂牛病。原因は、病気にかかっていた牛の骨などが肉骨粉として与えられていたことでした。


牛乳のおいしさは何によって変わってくるのか。それまでは牛の種類や場所・地域…ぐらいに考えていたのですが、牛が何を食べて、どんな生活をしているかで違ってくる。いろいろなことを伺って、そう思うようになりました。


「大地も草も牛も人もみな健康」
ノースプレインファームの公式サイトには、そううたわれています。おいしいものを手がけてくれている生産者の方たちは、ジャンルが違っても、そういう視点を持ち、自らの目指す方向を定めている。そう感じます。