辰巳先生のメッセージ

みなさん、こんにちは。
秋らしくなったかと思えば、台風が。本土をかすめるものが大半ですが、沖縄に向かうものが多いように思うんですが、気のせいでしょうか? 東京辺りに来た時と、沖縄の島々に行った時では、勢力や規模が同じぐらいでも、台風の勢いが違いますよね。今回も、最強クラスの台風ではないのに、予想される最大瞬間風速が50mを超えるとか…。接近する地域に、被害がなるべくありませんように…。


さて、間が空いてしまいましたが、「味わう会」で辰巳先生が話されたことを中心にご報告を続けます。


気が付かねばダメ
真っ先に先生が口にされたのは、河野シェフへの感謝でした。中でも、最後のスープ、洋梨の冷たいスープは「いのち絶えてゆく方に差し上げたいもの」と。続いて当日の給仕の方々への労いの言葉を。いつもと違うレイアウト、お客の数、コースの組み立て…何から何までが普段とは違っている中で、心地よく過ごさせてくれた。そのことへの感謝でした(開始前に、給仕の方達は進行表を見ながら、ミーティングをされていました)。

よーく気がつく人に、なって欲しい

それはどのような人なのかといえば、”考えるよりも先に、目や身体が動く”状態であること。そして、”こういうふうにしか出来ない(しようがない)”という状態。そして、

肌で感じる。後ろからの気配を感じる。目で見える以外のことを、気が付かなくちゃダメよ

と続けられました。ちゃんと気が付くかどうか、気が付いたことに、身体がついてゆくか。教室で何度も口にされる、”スープの湯気の向こう側を見なくてはいけない”という言葉が思い起こされます。


なぜ気がつかなければダメなのか。それは、気が付くことでどうすればよいかを考え、行動に移せるからなのだと思います。それが、次の言葉にも集約されているのだと思います。

気が付くかつかないかは、生死を分かつわよ


ではどうやって、気づく力を高めていくのか。先生は、こう続けられました。

スープを作る時にジャガイモの寸法を基準にとてもうるさいことを言うでしょ。煮干しも呆れるほど触らせるでしょ。そういうことを自分に課する。それは不思議に溜まっていって、その方の気付き力を養う。


気付き力と言えば、この日最も驚いたことは、河野シェフが今までに一度も辰巳先生のスープを口にしたことがないときいたことでした。そして、それは同時に先生がいわれていた”訓練を自分に課すこと”で到達された姿なのだと。間違いなく、シェフが経験で蓄えられた力が、レシピに書かれていないポイントも読み解いて、この日のスープに結実していたのだと思います。


ご報告の最後は、辰巳先生から参加された方への(そして参加者を通して教室で学ばれた方すべてに)メッセージを。

受け皿のない人に、スープは教えられない(受け取れない)。みなさん、自分に課した訓練を大切にしてください。