草摘みのおのこ


「蕗は、若くて毛が生えてるやつがいいのよ。細くても硬いのはダメ。バアサン。野草で見分けがつくようになると、野菜も見分けがつくようになるのよ」



小雨の合間を縫って、高知、愛知、東京の、三人の男が辰巳邸の庭の隅に屈みこんで摘み草。この日のスープの一つ、「穴子天の味噌汁」に使うためです。竹笊の中には、芹(陸ぜり)、蓬(よもぎ)、蕗、雪の下。蕗と雪の下ぐらいは分かっていても、背が伸びた蓬や、芹がこんなにそこら中にあるものだとは知りませんでした。。。改めて見渡してみると、人の手で植えられたものよりも野草のほうが幅を利かせている。ここは、宝の山ならぬ庭だったのです。


無事天ぷらになって、穴子天の味噌汁の脇役としてみなさんに食べていただくことができました。