焼き鯖汁、三昧。

みなさん、こんにちは。
涼しさと、湿気がちょうどせめぎ合っているような一週間。ここのところの東京は、まだ少し蒸し蒸しが勝っているようです。



 さて、先週末の鎌倉教室のご報告です。この時期の庭を彩るのは、花はコスモス、実は栗とまさに秋。

予定通り、「椎茸スープ」と「焼き鯖の味噌汁」の二品だったのですが、焼き鯖を使った味噌汁は具の組み合わせで、基本の葱、千六本にした大根、若布の三品に展開されました。また、その鯖の中骨を使って出汁を取ることも加わり、なかなか盛りだくさんな内容となりました。裏から時々見聞きしていると正直、こんがらがってしまっている部分があって、改めて整理し直さないとダメでした。参加されていたみなさんは、大丈夫だったでしょうか?



さて、その中で辰巳先生はいろいろなことを話されましたが、僕が特に印象に残っているのは次のお話でした。

苦労しちゃダメですよ。背負い込んじゃダメ。頭を使わなくちゃ。自己分析しなくちゃダメですよ。今は昔の人のように、"家事が苦にならない"って言うわけにはいかない。例えば(高層ビルの)50階を1分で降りるエレベーターのような物を当たり前と思う(生活をしている)中で、味噌を当たる、出汁を引く、なんて言うのは50階を1時間かかって降りるような感覚だろうと思う。
ならば、どうしたらいいのか。私は、"段取り"しかないと思う。自分の中に"段取り"を作るしかないと思う。そうすることで、(例え出汁を引くというようなことであっても)50階を1分で降りるような感覚でできる。そうやって、自分の感覚をなだめていくっていうことをしなけりゃダメ。そうしないと、爆発しちゃう。そのためには、自分を客観視しないとね。

”簡単”とか、”便利”という時に、自分は無自覚に”短い時間の中での成果”というものを前提にしているな…と今更ながらに思い知りました。少ない準備や、ステップで一品用意できると楽だな〜っと思うのですが、実は割高だったり、洗い物が増えたりすることも気になったりする。例えばこれを一週間という長さで捉え直すと、野菜を一回分ではなく大目に茹でておいたり、出汁をまとめて引いておくことで、その後はそれらを使うことで、実は掛かる時間や手間の総量はそれほど違いがないのではないか。しかもその方が少なくとも買い物の回数は、減る可能性が高い…ですよね。使う物差しが、一時間用のものか、一週間用なのかで"段取り"は確かに違う。これをいかに組み合わせて用いるかで"楽に"なるか…ということなんだと思います。

「(最近のスピード優先が当たり前ということに対処していくには)自分の周りに段取りを作ることですよ。そういう計算を立てて暮らさなきゃ、自分を見失うのよ。自分を見失ったら、人生を見失うのよ。」

続けて聞いたこの言葉、いつでも見られるようにしておきます…。


※「焼き鯖の味噌汁」はこちらを参考に。

辰巳芳子 慎みを食卓に その一例

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