みなさんに、辰巳先生から宿題です。

「ものが無くなる時は、手のひらを返すように無くなる。あると思って振り返った時にはもう無い」

 みなさん、こんにちは。ここ数日、気温だけは初夏のような東京です。先週の鎌倉教室で辰巳先生のお話は、ごーやーの話から始まりました。そしてその途中で、煮干し出汁でお世話になっている伊吹島で、カタクチイワシがクラゲの大量発生で不漁…というお話に。

「だから、あるうちに、真っ当に暮らしなさいよ。(あると思っていたものが)無くなった時にも、完全に無くなりはしない。どこかに何かが残るはず。そして、何か代わりが出てくる。それをどのように食べていくかは、それまでの蓄積量です。やってない人には、見えません。生死を分かつのは、自分の責任なんです。ちゃんと食べてたら、無くなってきたその中でも、希望をつくり出せるのよ」

 いろいろな食材や調味料が姿を消してしまったり、変わってきている中で、自分は蓄積できているものがあるような暮らし方ができているのかどうか、正直よく分かりません。でも、自分の生き方に繋がることを、誰かの手に全て委ねてしまうことも、したくはないです。
こう書いてきて思うのですが、これは食べるということに限った話ではないですね。いろいろなことが、以前と同じ考え方・やり方では、うまくいかなくなっているように感じます。きっと、"あると思って振り返った時にはもう無い"状態なのしょう。そんな時、以前の通りに戻そうと試みるのも方法の一つかもしれませんが、今見えるものをどうしたらいいかを自分で考えやってみることのほうに、生や希望のヒントを感じるような気がします。となれば、何かを"蓄積できる/しやすい暮らし方"を、選びとらねば。


 ところで、この日の教室はスープに先立って、教室にも来られていて沖縄で活躍されている安谷屋さん直伝の「ごーやージュース」が紹介されました。ペリエを使った、なんともしゃれた涼しげな飲み方。そして同じく那覇で活躍されている、山本彩香さんのヨーグルトを落とす頂き方も。やはり沖縄の方達は、扱い方も一味も二味も違っていて、"蓄積"のお手本を見せていただいているようです。

続いて、茄子と大麦のスープ、そして新作・キュウリの暑気払いスープが登場しました。その新作スープを教えていただいている中で、先生から夏の宿題が出されました!

「なぜ、食べ物は美味しくなけりゃいけないんでしょうか?何で人間の身体は、おいしいと喜びを感じるんでしょうか?」
「ここで私が答えを言うよりは…そう、考えてきて!一回、そういうことを考えてもらうと、考え方が分かるのよ。手紙ちょうだいね、暑中見舞。無記名なんてダメだからね」

さて、みなさん。8月は教室がありませんから、久し振りの(?)夏休みの宿題ですね。感じたこと、おぼろげなことも言葉にしてみると、意外な発見があることに自分でも驚くことがあります。時には、美味しいものを食べながら…ここに、いろんな考え方や疑問をお書き頂いても構いません。ぜひ!


 最後に、冒頭にご紹介した先生の言葉の続きを。明日からは、東京にもまた夏が戻ってくるようです。どうぞ体調は、くれぐれもお大事に。

「希望は、たなぼたじゃないから。創出しなければ希望なんて生まれませんよ。つくり出さなければ。誰かが作ってくれたものに掴まるんじゃないんだから。希望は、自分自身に属するんです。それから、あなた達がそうやって作ってきたものが、目には見えないけど残せる。それが、次の人たちの進化を助けるんです」