特別講習会(3)〜スープの本質

午後は、スープの講習会。正面に張り出されているレシピは、一番出汁、玄米スープ、椎茸のスープ、そしてポルトガル風人参のポタージュの四つ。先生が今日のために選ばれた四点。


はじめに、いつも教室の向かって左に掲げられていたスープの体系図を示しながら、レストランなどで知ったスープを一度頭から忘れて下さい、という話から。そうすることで、難しいことをやるんだという重荷をしょわないで自由にスープに向かえると思いますよ…と。スープは人類が生きてきた道筋にあるものなので、原形(炉端)を思い起こしてそれに重ねて欲しい、と強調されていました。このお話は、教室でみなさんも何度も聞かれたことと思います。


目指すべきものをどう置くかによって、例え同じ「スープ」という言葉が使われても、その過程や心持ち(や労苦)は大きく変わるはず…ということを噛み含めるように強調されていたのが、とても印象的でした。それは、こんな言葉にも表れていました。

一番大事なことは、ものを従えようと思わないことですね。ものが"こうして欲しい"という約束事が必ずあります。その約束事に自分を従わせていくと、スープというのは癖のない、万人に万事というスープが自由自在につくれるようになります。特にスープは素材に従っていくことが肝要です。

材料を吟味すること、ちゃんとした生産者を知ること、生産者とご自分の関係を大事にすること。売りに来たものを買うだけではダメで、いい生産者がいると聞いたら、出掛けていってどんな仕事をしているか見にいくことぐらいはするべき、と繰り返し言われた後でにっこりと一言。
「そういうことに気をつけて下されば、自然に自然においしくなっちゃうの」


そうして最初は、玄米の煎じ汁から始まりました。