鰹節と鰹出汁

みなさん、こんにちは。
二週間ぶりに雨が降る週末となった東京です。太平洋高気圧の縁にあたる九州南部や四国では雨の日が続いているようなのですが、8月の東京の雨量は平年の15%…だそうです。


さて、先日インターネットでこんな記事を見かけました。

 かつおだしに満腹感を高めたり、情動を抑える効果があることが、京都大農学研究科の近藤高史准教授や富山大の西条寿夫教授らのグループによる研究で分かった。健康面での日本食の効用が、だしからも注目されそうだ。24日に京都市左京区の京大で開かれるシンポジウムで報告する。
 男子学生19人に空腹時、同カロリーのかつおだしと糖質(デキストリン)を含んだ水をそれぞれ飲んでもらい、胃の活動電位を計測した。だしを飲むと胃の活動が活発化し、満腹感も高かった。同時に食事をすると食べ物は長く胃にとどまり、腹持ちも良くなった。
 さらに、マウスで情動の変化を実験した。水とだしをそれぞれ与えたマウスのおりに別のマウスを入れて反応を確かめると、だしを与えたマウスはすぐには攻撃せず、攻撃時間も短かった。
 ラットで食べ物の好みの変化も実験した。だしと水をそれぞれ自由に飲めるようにすると、日がたつにつれてだしを飲む量が増えるが、糖分や脂肪の多い高カロリー食を与えると、だしを飲む量が減った。食事傾向がだしへの好みを変化させているらしい。
 近藤准教授は「だしのさまざまな効用が科学的に示された。日本人の和食離れが心配で、だし文化を見直してほしい」と話している。

この京都新聞の記事で気になったのは「当分や脂肪の多い高カロリー食を与えると、出汁を飲む量が減る」というくだりです。うーん、そういう関係が考えられるんですね。


先日、辰巳先生とお話する機会がありました。この夏、先生はごーやーをずいぶん摂られていると伺っていたのですが、鰹節も今までとはちょっと違う扱い方で使われているそうです。それは、煎って粉にして持っているという方法です。
炒め物、和え物、煎ったものいろいろ使われているそうですよ。出汁を引いていなくても、こういう取り方ならば、展開の幅はぐんと拡がりますね。それにしても、常に次の可能性を考え、試されている姿勢は、いつものことながら頭が下がります。いつかは一つでもお返ししたいと思ってはいるのですが…。


もうずいぶん前になるのですが、NHKの「ためしてガッテン」でゴーヤーを取り上げた回がありました。その時に、"沖縄の人は美味しいからゴーヤーを食べているが、本土の人は身体に良いから(苦いけれど)食べている"というトピックがありました。この違いを生んでいた正体は、鰹節だったんです。苦味と旨味は、増幅しあって脳に"美味しさ"として伝えられているのだそうです。どちらが欠けても美味しくなくなってしまうという組み合わせだったんですね。
こういう効用は、単独の成分分析では出てこないんでしょうね。ちなみに、沖縄は全国平均の6倍の鰹節消費量(2009年家庭購入量)があるとか。確かに、ちゃんぷーるーに和えたり、出汁をとったり、かちゅーゆ(鰹節を調味料とお椀や丼に入れてお湯を注して飲む)にしたりと、使い道も多そうです。


9月になってもまだまだ蒸し暑い日が続いています。何となく身体が重いと感じる方、鰹出汁や鰹節を使う機会を増やしてみるのは、どうでしょう。煎った鰹節の粉と、例えば八丁味噌のパウダーがあると、時間のない朝でも、遅く帰った日でも、ほっと一息つけますよ。きっと。